R08.07 会派視察 一日目②

ソフトバンクさんから移動し、盛岡市へ。

夕方、
あらゆる人が垣根なく行き交い、集い合う、新たな拠点
ヘラルボニーさんへ。

1.ヘラルボニーの概要
2015年に活動を開始し、2018年に株式会社化。
知的障害のある約200名のアーティストと契約し、作品をライセンス化。
アートを高精細にデジタル化し、商品開発や空間デザイン、企業とのコラボレーションに活用。作品が活用されるたびに作家へロイヤルティが支払われる仕組みを構築している。
関係企業や地域(岩手県など)、福祉事業所とのつながりを大切にしながら事業を展開。
愛媛県の福祉事業所との連携では、レモン栽培・加工など地域資源も活用している。
作家の作品から着想を得て商品開発を行うことも特徴で、例えばメロンクリームソーダをイメージした作品から実際のメニューを開発した事例も紹介された。

2.創業の原点
創業者・松田氏には先天性の知的障害のある兄がおり、家庭では普通の兄であるにもかかわらず、地域社会では差別や偏見を受ける姿を見て育った。
社会人2年目にルンビニ美術館で障害のある方の作品と出会い、その芸術性に衝撃を受けたことが現在の事業につながった。
「障害があるから評価される」のではなく、
「優れた作品だから評価される社会」を目指し、
社会に根付く偏見を変えたいという思いが原点となっている。

3.目指している社会
ヘラルボニーの目的は、障害のある人を自立させることだけではなく、
「障害のある人が安心して暮らせる社会をつくること」
である。
「障害者の作品だから素晴らしい」のではなく、
障害があってもなくても、素晴らしいアートは素晴らしい。
という考え方を大切にし、その価値を社会へ届けることを使命としている。

宮沢賢治の
「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」
という言葉も理念の一つとのこと。

4.事業運営・資金調達
事業拡大には金融機関、投資家、企業との連携で。
また、社員の多くは、
・社会貢献をしたい
・新しい企画に挑戦したい
という思いを持っており、
発展につながっているとの説明があった。

補助金については、
小規模事業者持続化補助金や特許関連補助金を利用した経験はあるものの、
現在は補助金に大きく依存しない経営を行っている、、、とのこと。

5.作品の評価・価格決定
作品評価は主に二つの方法で行っている。
・市場評価、、、個展での販売状況を見ながら価格を調整
例えば、初回展示で約8割販売なら、
次回は価格を上げる
それでも売れればさらに評価が上がる
と、市場原理を活用している。
また、社内のチーフアートオフィサーが作品選定を行っている。
・国際的評価、、、30か国以上、2,500点以上が集まる世界規模のアートアワードを開催し、第三者評価も取り入れている。

6.企業との連携
企業側から
「何か一緒に社会貢献をしたい」
という相談から始まるケースが多い。

具体例として、、、銀座ギャラリーの展開
工事現場の仮囲いへのアート活用
社会貢献型カードの企画
など、多様な企業との連携があるとのこと。
→活動が広がることで、紹介や新たな引き合いも増えている

7.作家との関係
著作権は作家本人が保有。
著作権の買い取りは行わない。
商品化の際にはロイヤルティを支払う。
作家一人ひとりに担当社員が付き、家族とも相談しながら活用を進める。
テーマに沿って制作できる作家もいるが、基本的には本人の意思を尊重している。

現在、最も収入の多い作家では年間約1,000万円の収益を得ているとのこと。

8.社会へのインパクト
内閣府調査では、現在も約8割の人が障害に対する偏見があるとの結果がある。
ヘラルボニーとして社会への影響を定量的に測ることは難しいものの、
「小売事業で1,000億円規模の企業になれば、社会的な認知も大きく変わる」
との考え、それも目指している、、、とのこと。

9.教育について
障害の有無で教育が分断されている現状は大きな課題と認識している。
一方で、当事者にとって安心できる環境として分かれている側面もあり、
一概に否定できないという面もある。
→東久留米市では先進的な教育プログラムが進められているとのこと。

10.新たな作家の発掘
以前は広く作品募集を行っていたが、
応募が非常に多く対応が難しくなったため、現在はその方法を中止。
現在は福祉施設や関係機関とのネットワークを通じて、新たな作家との出会いを広げている。

所感
ヘラルボニーは、福祉事業ではなく
「アートを通じて社会の価値観を変えるビジネス」
として事業を展開している点が印象的だった。
障害を特別視するのではなく、
「優れた作品を正当に評価し、その価値を社会へ届ける」
ことを軸に、企業との共創やライセンス事業を通じて作家へ継続的な収益を還元している。
また、「障害のある人が安心して暮らせる社会をつくる」という理念を、
補助金頼みではなく事業として持続可能な形で実現しようとしている姿勢は、
福祉・文化・産業振興を考える上でも大いに参考となりました。

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