寝屋川市「本気でいじめを抑え込みます」

地方制度研究会の研修会はコロナの蔓延もあってwebで行われました。
今回は大阪府の寝屋川市の取組み
「いじめゼロ」への取組み
について、市長の広瀬さんよりお話を頂きました。

資料を添付します。

01-いじめゼロへの新アプローチ
05-児童生徒用チラシ低学年用
08-保護者向けチラシ

下記は僕のメモより

・寝屋川、、、年間約150件のいじめ事案。
・内99%は学校の通常の取組で解決できる
・1%、長期化するものがある。ここへの対策
・いじめられる子もいじめる子もどちらも大事な生徒
・監察課、市長部局
・人権問題として扱う
・行政として扱うことで、子どもたちを扱う概念を教育的アプローチと異なることが出来る
・監察課は、生活保護のケースワーカー、庁内で弁護士資格を持つ職員など9名で構成

・例えば、、、先生が夜中にいじめている側を訪ねる、、、が、、、先生は気が重い。
・ご両親に問題があることもあるし、
・こういったことを監察官が引き受ける。
・先生方の負担軽減⇒働き方改革にもなる
・添付のチラシは、毎月一回配布。
・実際の事例表示や通報促進となる工夫がされている

・学校は、円満で解決しようとするし、99%はそれで解決できるが
・第二段階として行政的アプローチが入ることで

・三段階目は法的アプローチ
・刑事事件として告訴するアドバイス、
・民事としての裁判、全額ではないが、市で負担する
・市を訴えても良い

・後で振り返っても「最善の手を打った」としたい。

・教育的アプローチの際に「行政的アプローチ(監察官)や法的アプローチをとられると、ことが重大になるので、我々にご協力ください」という言い方もできる。

・教育の独立をどう確保?とよく聞かれるが
・教育本体と教育環境は違う、、、と考える。
・教育本体は、教育の内容
・教育環境は、校舎、登下校の対策などは行政が担う。行政は環境の整備を担う。
→行政の役目は、子どもたちが安心して教育を受けれること
→が、市長は勧告できる

・現在、いじめが発覚して一か月以内に解決(監察課は2週間で解決を目指している)
・全て、当事者から話を聞くことにしている

Q.監察課の人は?
A.9名ほど。弁護士資格、元ケースワーカー経験者。若手の職員など公聴に長けているもの。
学校のいじめだけでなく、庁内のセクハラパワハラの対応もしている。
セクハラやパワハラなどは、この制度をつくったら、それまで0だったのにかなりの数の通報が出た。業務改善にもつながっている。
危機管理部の下にある組織(人権問題担当)

Q.①いじめの相談内容、②この制度ができたことで子どもたちや学校はどう変わったのか?
A.
①現状は軽微なものが多い。通報は小学生が多い。中学生は少ない。長期化するケースがある。監察課は計画を立てる。一年後の状況も把握している。
②当初は、先生方に戸惑いはあった。学校へ部外者が入ってくることに。市長が自ら成功体験などをツイッターなどに載せた。保護者などに理解をして貰えた。

Q.教育委員会からかなりの抵抗があったのでは?と思うが?
A. 寝屋川市のこの取り組みは、いじめの深刻な事件が起きてつくったのではない。「役割分担」ということで話をした。時間外に先生方が解決のために動くことは負担ではないか?と。そういった負担を行政が担う、、、と話をした。先生方や教育委員会を悪く言うのではなく、これまでも99%は解決してもらっている。が、1%などのために、と。平時に制度設計をするのが大切と考える。

Q.家庭の虐待などについては?チラシもとても良いと思う。
A.検討している。今現在もいろいろなケースが上がってきている。例えば障碍者の施設などからも。次のステップとしてある。人権問題としても。
チラシは、通報に利用でき、抑止効果にもなっている。
本人からの通報よりも、周りの人からの通報も多い。さらに広く市民に周知していきたい。

Q.
危機管理部の監察課は?
A.
教育委員会とは別組織。
いじめ対応の三権分立。行政、教育、司法、、、で対応する。
いじめの定義も変わってくる。
教育委員会の定義は、国(法律など)の定義。
寝屋川市は、監察課、、、当事者から聞き取りしケース検討をして認定する、一週間ほどで。学校よりも早い。
学校側が認定していなくても、こちらで認識すれば、勧告できる。全く異なる組織で並行していけることがメリット。

Q.松本氏:高石市
教育的アプローチで漏れる方を行政的アプローチで、、、と立ち上げたと。実践数は?
A.件数は、教育委員会から上がってきたものも数に入れている。教育委員会から終結データがきても、監察課が全件確認をしている。今現在、教育的アプローチと行政的アプローチで対応できている。抑制機能も働いている。強力な予防効果がある。
監察課という名称がどうか?といった議論もある。
きついイメージ。が、これ自体も抑止効果。

Q.学校での道徳教育も大切と思うが?
A. 教育的アプローチとして教育も行っている。が、、、いじめ事態を根絶するのは難しいとも思っている。「いじめを抑え込む」といっている。これもきつい言葉。人類の歴史の中でいじめがなくなることは難しい。ビラを毎月配ることで、いじめる側は通報されることを恐れる。心理面でも抑止効果。なくすことはできないが、抑え込むことはできる。短期間にできる。

Q.着想のきっかけは?どれくらいの期間で作成したか?
A. 市長になって若い子育て世代の皆さんと懇談した。住環境は難しいが、教育環境は用意したい、、、と思った。
制度設計の大きなところは、問題の対処療法ではなく、分析から始めた。先生方の能力などパーソナルな部分ではなく。問題から俯瞰してみた時に、、、着想した。
システムならば、三権分立の機能を働かせる、、、と。
期間は、それほど長くない。7月から協議を始めた。10月には監察課を立ち上げた。

Q.いじめが難しくなっている。摂津市でもあるが、密室化やスマホなどのケース。親や大人が知らないところで子ども同士でつながっていることもある。
A.虐待といじめは異なると思っている。虐待は家庭内でクローズされると発見できないこともある。が、いじめは登場人物が多くなる。関係人数が多いと必ず漏れる。誰でも通報できると。
監察課など学校外の者が来て、児童生徒や保護者に話を聞きに来る。かなりの抑止効果。
過去の問題なども聞きに来る。

Q.国の制度や法律が足かせになっているものは?
A.いじめ対応の三権分立が大切と思っているが。いじめについては、文部科学の委員会などで議論がなされる。常に教育的アプローチで、更に強化しようと議論する。
今回、子ども家庭庁が立ち上がる。寝屋川市にすると、いじめで苦しむ子供をなくしたい、、、と取り組んでいる。市町村は、総務省が所管となるが、国へ理論設計をお願いしたい。

Q.スウェーデン、選挙の投票率が高い。学校の校則も自分たちで決める。
A.大事なところ。子どもたちがネットの情報に接する機会が多い。
水に落ちないことを教えるのではなく、水に落ちた時の泳ぎ方を教えるほうが重要では?と考えている。
で、小学生からリベートを始めた。自分の考えを持つこと、他の人に伝えることができるように。。。週に一度その時間を持つ。
日本の義務教育にはそこが欠けている。社会の中でいかに生きていくか、、、が重要。自分の考えを持つことが。
学力にも好影響。
いじめも自分たちで考えることができると。
そうすると、SNSでも一方的に攻撃をしない。
いじめとリベートの取組は同じ時期に始めている。

Q.子ども家庭庁の話、子どもを守るとか子どもの権利を守る、、、などが吐出している感もある。まずは家庭が居心地の良い場所でなければいけない。家庭という単位をどう考えるか?
A.その通り。厚労省、文科省など役割が分かれているのは大人の事情。子どもにとっては、生活環境、学校環境など何の区別もない。一体的。子どもたちにはもっとふわっとした環境が。シームレスな環境が必要。

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いじめを抑え込むということで行政が係わる好事例と感じました。
また、学校へ第三者が入ることに対するプレッシャーはあるかもしれませんが、先生方の負担軽減、責任軽減、、、にもなります。
まずはいじめがないことが理想ですが根絶は難しい中で、
子供たち自身で「何がいけないことか?」を理解すること、困った状態になった時に対応できることが重要です。

行政としての積極的な係わりで多くの子供たちを守っている寝屋川市。
広瀬市長の想いに触れ、大変勉強になりました。

感謝!です。

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