長野県議会海外調査 ① 二日目

昨夜の飛行機、40分ほど出発は遅れましたが、
ほぼ予定通りシドニー国際空港に到着。
第一印象は、とても緑の多い街だなー。

長野県のシンガポール駐在員Y氏ともスムーズに落ち会うことができ、
uberを使って滞在予定ホテルへ。
お昼前でしたので荷物を置いて貰おうとお願いしたら、
「チェックインできます」
との回答。
一晩飛行機で過ごしていたので、かなりありがたい!
シャワーを浴び、髭剃りなど身支度を整え、
今回の旅程で大変お世話になるNNAオーストラリア(オセアニア地域での政治経済・食品農業ニュースの編集および発行のほか、市場調査、翻訳通訳、輸出支援事業等を行っている企業)さんへ。
NNAオーストラリア
一緒に行った山田議員が若い頃、勤めていた会社ということもあり、とても丁寧に対応頂きました。
本日のオーストラリアのニュースなどから意見交換や
あちこちを訪問するためのアドバイスなども頂きました。

その後、在シドニー日本国総領事館へ。

総領事、副領事さんらにご対応頂きました。
州の概要、日本との関係などについて丁寧にご説明頂き、質疑を含めた意見交換。

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オーストラリアは、
人口は約2647万人で、日本の1/5ぐらい
面積は日本の約20倍

シドニーのあるニューサウスウェールズ(NSW)州は、
人口約829万人、面積は日本の約2倍。
(シドニー市に限ると人口約24.6万人、シドニー大都市圏は約523万人)

州は、議院内閣制で、二大政党(労働党と保守連合だが)のどちらかが政権運営を行う。(国も)同様
国は昨年、州は本年、保守政党から労働党へ変わった。
(対中政策は変わらず)

NSWには、35000人ほどの日本人が住んでいる。
治安が悪いという話もないし、凶悪犯罪も少ない。

今はオーストラリアではシドニーが一番大きな都市だが、メルボルンの成長が著しく、ゆくゆくは抜くだろう。
・メルボルン:商業、工業が盛ん
シドニー:商社や金融が多い

先進国でありながら、移民政策によって高い人口増加率を維持。
生産年齢人口も増加。
(人口の3割は移民)
今は、インド系の移民が一番多い。

ビールは、キリンとアサヒで9割のシェア。

農産品の輸出については、検疫が厳しい。
刺身は、切り身になっていればOK。
和牛は、味は美味しいとの評価。
JETRO(日本貿易振興機構)は、食に力を入れている。
日本の調味料は、大きなスーパーならばかなり置いてある。
加工食品も。

日本への観光客はコロナ以前にほぼ戻った。
スキーなどはもちろん、手作り感の旅行が人気。

留学ビジネスは、オンラインも含めて大きな可能性。

NSW州の高校では、第二外国語に日本語を選択する生徒が多い
日本語学習者の人口比率は世界最多

日本の自治体とNSW州の自治体との姉妹都市提携は、39件ある

Q.農産物の輸出の可能性は?
A.いろいろな果物がすでにあり、安価。いかにおいしいものがあっても価格競争的に厳しいのではないか?と思っている。
肉にしても魚にしても、同等ぐらいものが安価であるから、余程の付加価値がないと厳しい。
可能性があるとするとオーガニック系や加工食品(検疫がない)。
物価は上がっているが、地元産はそこまで高くなっていない。

Q.産業の状況について
A.人手不足。移住で対応。最低賃金は23.23豪ドル。
鉱山労働で一番安い労働者で年1400万円、マネジメント職は4000万円以上。治安が良く、住み易く、外国人にも就ける仕事がある。
半面、生活費の上昇(電気・水道)、そしてシドニーは住宅不足が顕著

Q.メルボルンがシドニーを抜くという話があったが?
A.地図で見ると分かるが、シドニーは山々を背負っているが、メルボルンは平野が広がり拡張性がある。日本のデベロッパーや金融機関がかなり活動している。

Q.スキー以外にオーストラリアの観光客に人気な旅行コンテンツは?
A.オーストラリアの方は、リピーターが多いのと、滞在時間が長いのが特徴。東京から大阪へ行って、、、というルートの中で、長野県へ寄ることも多い。何度も行っている人は、日本の原風景や体験が人気。中山道など良いだろう。
アドベンチャーツーリズムも良いが、上高地みたいなところも。
日本人のように名所だけを回る、、、ではなく、時間をかけて雰囲気を味わったり、体験「やってみる!」ということを好む。

Q.何で情報を仕入れることが多いか?
A.SNSだろう。

Q.姉妹都市のきっかけは?
A.大和高田市は歴史的背景がある。その他は首長の意思。

Q.オーストラリアとの関係について力を入れている都道府県は?
A.スキー客から人気の北海道と長野。あとは最近福岡県がスポーツ(ラグビー)を通して関係強化をしている。

Q.長野県からオーストラリアへは、全体で約36億円の輸出しかない。今後の可能性は?
A.民芸品などは可能性があるだろう。雑貨屋など個人的なショップはいくつかある。

感想移民政策による人口増と経済成長という現実を目の当たりにし、最低賃金が日本の2倍、平均年収は800万円を超えるという状況、そして治安の良さという点は、とても魅力的であると感じた。また、県の輸出という面においては、農産物の可能性についてはかなり厳しいが、加工品や調味料は大いに可能性があるということなので、展開を模索すべきと考える。

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その後、uberを利用し、JFC AUSTRALIAさんへ。

 

県産加工品の今後の展開について調査。

まず、倉庫内をあちこち見させて頂きました。

八幡屋磯五郎さんの七味唐辛子を発見。

その他にも、日本酒、納豆など長野県産も多数ありました。
こちらでは、約5000品種を扱い、同社の規模とするとJFCアメリカについで二番目の規模とのこと。
約70人が働く。
お米は、自社開発米(外国で生産)を含め、多数取り扱う。

Q.検疫が厳しいと聞くがお米は?
A.玄米はカドミウムなどの関係で厳しいが、日本の米は、精米してあればハードルは高くない。
多種類あるが、値段と品質が異なっていて、飲食店の形態に応じて納めている。
2000年以前から取り扱っているが、日本米は高くなり、ベトナムなどで自社開発の米を作っている。

Q.青森県の農産物の輸出量は多いが、県の意思が強いからか?
A.ベンダー会議を青森県が誘致したりして力を入れている。

Q.長野県の品が売り上げを伸ばすためには?
A.国内のロット、ミニマムロットでできれば良い。上手く売り切れない場合の買い取りなどを保証してくれるなどすれば、扱いやすくなる。

Q.ネットの顧客は一般の方も多いか?
A.飲食店が多い。

Q.売れない理由や傾向はあるか?
A.高級品は売れるか売れないか、はっきりする。オーストラリア人が日本へいって、飲んだり食べたりしたものを求めることがあるが、似たものでヒットをするかというとそれは厳しい。
しかし、とにかく食べて飲んで貰って、美味しいと思って貰えるようにする必要がある。

Q.味噌汁は売れるのか?
A.和定食が定着しつつあることもあり、売れる。

Q.長野県は発酵、長寿ということで、力を入れていくが、可能性をどう感じるか?
A.賞味期限が一年ぐらいのものがあるとありがたい。甘酒はあまり売れない。
A.発酵食品フェアーはやったことがないが、動画など分かり易い説明ができれば売り込みやすい。メーカーさんにまめに来て貰うなど、地道なセールス活動は大切。

Q.果物の輸出の可能性は?
A.距離的に遠いのと、検疫が厳しいこと、さらには、オーストラリアは果物大国なので。。。ももやいちごなど日本の果物は美味しいが、安価な地元産に勝てるか。

Q.調味料などを売り込む場合は?
A.オージービーフに塩こうじを使うなど、具体的なプレゼンが必要。チェーン店などで使って貰えると、利用が一気に広がる。そういった提案を。
A.長野県の物を選ぶ理由がなければ、同じようなものならば安いものを使うだろう。
A.県産品として強く売り出したいならば、ちまちまではなく、大きな予算をつけて一気にやるべき。どの商品を強く売り出すか、毎年コンペをやって毎年5品目を売り出すなどやったらどうか。

Q.ECサイト、ネットでの販売から分かることは?
A.どういったものが売れるか、調査をしている。お客さんの声をダイレクトに聞ける。

Q.海の輸送については?
A.日本は水深が浅いなど使いやすい港が少なく、船会社が弱いので、輸送コストが高い。
A.物は良くても、他国の品質が上がっているので、日本の物を買う必要がなくなる。

Q.加工品の輸出について
A.外国は、ロットを小さくしてくれたり対応が良いが、日本のメーカーはフットワークが重いし、ロットも大きい。スピード感もない。中国やタイ、諸外国では、国で輸出の指導を行うなどしており、早いし信頼もできる。
A.日本は、輸出後進国になっている。HACCPの対応も遅い。
A.添加物などについても、日本の基準が世界基準から乖離してしまっている。

といった話でした。

感想)
日本の食については、かなり受け入れられていると感じますが、お米など、日本産でない現実がすでにあることに驚きました。今現在、調味料などはしっかり使って貰っていますが、同じようなものが他国で出たら、、、と思うと、先々は安泰ではないともう少し危機感を持つ必要があるのではないか、、、と考えます。
と同時に、もっと利用が広がることで輸出量が増えれば、価格を抑えることもできるだろうから、メーカーの販売戦略を支援するべきではないか、、、と思いました。

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夜、街中を結構歩きましたが、一人で歩いている女性がいるなど、言われるように本当に治安が良いと感じました。
また、毎夜、行政がお金をかけて街を掃除している、、、ということで、あちこちで清掃車を見かけました。ゴミ箱もあちこちに設置されていることもあり、ゴミが散らかっていることも少ないです。

少し古い建物・町並みが多くあり、真四角なビルが少なく(多いエリアもあったが…)、魅力的な風景が多数あり、みどりも多いですし、思った以上に良い街です。

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