公立の国際バカロレア認定校

超党派の地方議員で地方制度について研究する、
地方制度研究会
の視察研修に参加。

今回は
さまたま市立大宮国際中等教育学校

実は研究会としては本年2回目の同校訪問。
とても好評であったことから、
自分もそうですが、1回目に行けなかった者から強い要望もあって再度実現。

ここで学ぶ 世界の未来のつくり方
誰も見たことがない世界であなたはどのような未来をつくりますか

6年後のあなたは 地球上の様々な場所で 活躍しています

・・・そんなことがパンフレットに書かれています。

関田校長:
全国各地から様々なところから視察に来るが、基本的に断っていない。全国の学校に本校のエッセンスが少しでも入ることで、世界のこれからのありようにつながれば、、、と考える。職員も生徒も分かってくれている。

ということで、評価発表(定期テストがないかわりに行っている発表)をしている授業以外は基本的に入って参観できるとのことで、たくさんの授業を観させていただきました。(グループワークをしている時ならば、生徒へ話しかけてもOK、、、とのこと)

美術の授業(英語で説明)

理科の授業

これからの平均寿命はどうなる?

音楽はグループに分かれて有名ミュージカルの曲の練習

生徒たちの様子。
「今日はディスカッションなどが少なくて外れの日だった」
と聞きましたが、学ぶ様子から生徒たちの自主性を感じることができました。

下記、校長先生の話や見学などから備忘録。

・中等教育(中学、高校)
・100分授業(当初は同じ教科を50分-10分休憩-50分とやっていたが、生徒から「昼食時間や放課後の時間を長く欲しい」との声があり、続けての100分となった)
・2週間で時間割を作っている
・一日3教科で、これは効果がある。
・聞く、話す、意見交換など活発になっている。
・クラスは40だが、授業の人数は26、27人。国際バカロレアでは40人はありえない。(2クラスを3つに学習グループにわける)
・習熟度別ではなく、単純に分けている(理解が早い生徒が教えるなどの効果がある)
・期末テストはないが、単元ごとに作品やレポート提出がある。
・締め切りは数か月後の何日、、、などと示している。
・引用は良いが盗作はダメ
・月曜日の午後は総合的な時間(今日は普通の授業を見て貰いたいので特別に変更)
・美術は英語か日本語か選べる。DP(Diploma Programme)国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得したい生徒は必修
・一期生は5年生(高校2年の学年)
・英語の授業は日本語は一切使わない
・理科の授業も英語で行う。説明だけでなくディスカッションも。
・自分ではなく、相手も分かるように

・学校説明で必ず言うこと
・「高校受験がなく6年間で大学進学を目指す」ではない。より良い世界に自分たちが関わっていくように、、、ということを学ぶ。
・自分自身の努力が自分のより良い未来につながることは当たり前で、自分の家族や自分のいる地域や団体が良くなるように。多くの人がそうなれば今よりも良い世の中になる。
・ならば自分はどうすればよいか、、、が本校のキーフレーズ
・初めにそう説明をしておかなければ、「この授業で大学へ行けるのか?」と言われてしまう。
・2040年の社会へ向かう教育改革
・大学入試の改革も進んでいるが、、、
・大学入学共通テストのTOIFLなどの導入が中止になった、国語の記述回答がなくなった、、、など、本気の改革となるのか疑問
・誰が反対したいのか、、、このままでは日本はどうなるのか・・・
・新しい学習指導要領で、アクティブラーニング導入
・これまでにない様々な方策で探究的な学びを深めていき、ここで「世界の未来のつくり方」を学ぶ
・5,6年は3つのコースに分かれる
〇グローバルコース
・国際バカロレアのDPに基づいて英語による授業、国際的な活躍を視野に
〇リベラルアーツコース
・自分は文系だから、理系は前期課程で終わり、、、これからの世界を考えると、本当にそれで良いのか?
・分離融合で幅広い知識を得て、真理を探究
〇STEMコース
・STEMの領域を横断し、柔軟な発想力を伸ばす
・AI時代に必要な論理的思考力を育む

・授業は、日本の学習指導要領で良い。アクティブラーニングも入っているので。
・2013年に故安倍氏が首相だった時に国際バカロレアの学校を200校にすると宣言して進んだ。
・2学期制
・土曜授業が隔週である
・土曜日は自分がやりたい学ぶをする(ワークショップは申込制、教師のみならず、生徒主催のWSもある)
・夏休みなどの休暇はクラブ活動は一切やらない(大会出場などはあるが)
・そうしないと教員がやっていけない
・部活動という言い方はしないようにしている
・3か月で別の部へ変わっても良いようにしている(たくさん経験して欲しい)
・教員も同じ種目でずっと担当(アドバイザー)にならない
・修学旅行なども、行って何を学ぶか?を自分たちで考える。
・中学三年生でも、学ぶ時間よりも部活の時間が多い生徒もいる、、、という現状もあるので

・三者面談(ポートフォリオ)
① 生徒は、前回の面談からの自分の学習面での成長点をプレゼン。成長したという理由も。
② 課題の状況
③ それらが全て自分の身に着くと、将来どうなるか?
④ それがどう世界に、より良い世界につながるか?
・・・親は我が子の成長を実感し、感じたことを話す
といった流れ。
今の姿とこれからを示して
【よりよい世界を築くことに貢献する地球人】

進路指導
「模試の結果、偏差値がこうだからこの辺から大学を選ぼう!」ではない
「どこそこ大学の○○先生のこういった研究をしたい!」とか。
「一流企業に入りたい!」は、「こういった研究をしたいからこの企業に入りたい!」で。

・・・まだ卒業生がいないので、結果どうかは分からない。

Q.学校開校までの準備期間は?
A.開校6年前から。スタッフを集めての準備は1年。市長が選挙公約で掲げて当選したことで進んだ。

Q.入学者選抜は?
A.中高一貫、国の方針ができた時、学力を問わないもの適性テスト(ペーパーもあるが)知っているか?ではなく、表や図を見て設問に答える問い。募集定員160人へ志願600人ぐらい。生徒の希望よりも親が関心を持ってくるので、「大学受験まっしぐら、、、の学校ではない!」と言っている。
生徒には「本校の何が大変か」ということを話をしている。

Q.外部的な反対圧力はなかったか?
A.教育委員会から出た話だったが、市長の発表が少し突然だったり、もともとあった高校をは閉校しての開校だったので、反対もあった。発表した3か月後に1年延期にした。
学習内容については批判はなかった。
市長の二期目の公約。「世界レベルの国際中等教育」を掲げた。
少子化の中で、あちこちの市立や県立の高校が閉校となっていたが、さいたま市は特色のある学校を創ろう!となった。

Q.教員は全員、英語で授業ができるか?
A.国際バカロレアのDPをするには、美術などを英語で教える先生が必要。たまたまいた。DPでは少し綱渡り的な採用となっている。職員会議が英語という風評もあるが、普通に日本語。

Q.中学校と高校の教員の異動は?
A.両方も免許が必要なので。技術や情報科は別。
さいたま市独自採用もいる。基本的には県採用の教員。
埼玉県は今、教員試験は高校も中学も同じ試験をして、どちらか?と聞く。
今年は、新任が9名。バカロレアはみんな知らないからむしろ良いかも。

Q.不登校の生徒は?
A.年次が上のほうが多い比率(学校と合わないなども:一期生は1000人以上受験した)下につれて率は減っている。学校の情報が知れ渡ったからと考える。

Q.アクティブラーニングは良いと思うが、英語で教えるので困ったりは?
A.英語美術と英語による数学は、DPコース希望者のみなので。主熟度で分けていないのは、できる子が教えたり引っ張り上げることの効果が強い。


美術の課題。英語での提出も。

Q.五年目、卒業生はまだ出ていないが進路を決めている生徒は?
A.就職を考えている生徒はほぼいない。専門学校もいない。国内外の大学。
ただ、みんな大学進学でなくても良いと思っている。海外で働きながら、、、というのもありではないか。

Q.教育委員会などへ話をすると、これ以上仕事を増やすな!と言われそう。
A.リアルに大きな課題は、そこに人数を割けるか。多分新たな部署を作ることになるだろうから。誰に開校準備をやらせるか。
市立高校を特色化しようよ、、、という中で高校教育課をつくった。それまでは教育は義務がメインだった。セクションが必要と考えた。市長が公約で当選したというのが大きい。
先にやった札幌市も市長の公約、、、先生方のやりたい、やりたくないではなく、市民との約束だから!と。
はじめは「えー」と言っていた人間も、プランニングをしていると魅力的に感じる教員も増えてくる。
A.副校長:開校後、実際に生徒の成長が見れた時、魅力を確認した。

Q.高校からの入学は?
A.後期からは、海外帰国者に限った。リアルに英語が分からないだろう。
広島の県立学校は高校入学で20名帰国者としての枠を置いている。

Q.生徒たちの発表する姿を見て、、、生徒たちの意見を反映について
A.100分授業は当初、50分10分休憩50分だった。校長クラブということでいろいろな意見を生徒から出してくれた。スクールバス欲しいなどは実現した。100分続けようはできた。校則の改正について発議は生徒会。後期(高校)はバックはなんでもOKになったりした。最終的には先生の承認が必要だが、大抵のことは通っている。
今、継続になっていることは、間食について。先生の意見が多様である。高校はありだろうが、中学は給食があるし。

Q.大学への入学が変わるのが大切で、大学入試の多様化は進んでいる。AOなど。だが、少し疑問にも感じている。こういった学びが進むと、日本の大学に物足りなさを感じる生徒も増えるのでは?という危機感も持つ。
A.大学は一般競争が45%、55%が推薦やAOなど。私立はもっと。
国立大学は変化を好まないのではないか?とも感じる。測定できるものを重視している。だが、三位一体の改革はそこを突破しないと。
国立大学は、学力の担保はしようとしているが、その中でも東北大学は前向きと聞いている。
結果の評価は20年後30年後だろう。

他校に行くと、廊下で聞こえるのは教員の声だけ。
変わらないといけない。
「学校のあたりまえを変えるのが、一番難しい」

危機感や課題意識を持つ。

・・・・・・・・・

といった、3時間越えの研修でした。
長時間、関田校長、難波副校長には、丁寧なご対応を頂きました。m(_ _)m

地元では
「バカロレア」
と聞くと怪訝そうな顔をする方がいますが、、、
「未来へ向かって何が必要か?」
を、
もっと危機感をもち、目的を明確にして取り組むことが大切だ!
そんなことを改めて感じました。

・・・・・
廊下などのスペース

 

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